スケールさえ覚えればアドリブは弾けるのか?【ギター】
アドリブを実現するにはどうしたら良いか
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その状況(コード、キー)で使用可能な音階、つまりスケールをマスターしよう
スケール内の音が全て手元に揃えば、自由な演奏ができるはず
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スケールを下から上に、上から下に、たくさん弾いて覚えよう。使用可能な全ての音を手中に収めて、自由に弾きこなすために
…と、真面目で理性的な人ほど考えがちなのですが、
わたし的には、これだけだと足りないように思います。
「スケールが弾ける」だけを携えてアドリブ(本番)に向かっていっても、
スケールすなわち「理論上使っていいことになっている音の群れ」の中の音を、
闇雲にポツポツ弾くしかないんです。
ジャムセッションに行くと、そういうソロをとる人を見かけます。
完璧な例えではありませんが、
アルファベットを全て覚えても、言葉がわからなければ英語は喋れないのと同じようなものです。
もちろん、スケールのことを考えるのは必要だと思いますが、
この場合足りないものは、
・音楽的意志。弾きたいもの(言ってしまえばメロディ、フレーズ)
・弾きたいものを楽器で表現できるようにする作業
楽器をいじくりまわして(スケール内の音が出るような楽器の「操作」をして)、結果的に「何らかの」音が出る。
これは、音楽的意志ではないです。
弾きたいもの(一つまたは複数の音、またはフレーズ)のイメージがある→それを実現する楽器の操作はもう分かっている→それを弾きたいから、弾く
これが理想です。
基本的には、弾きたいものを弾くのがアドリブです。
楽器を弾いてから音楽的な結果を知るというのは、厳しく言えばこれは偶然の産物。
(と、滔々と語っているわたくしですが、例えば
不慣れなキーやコード、スケールになると、音のイメージと器楽的操作の連絡が全く出来ていないために、
「出したい音を出す」ではなく、
「外れた音にはならないポジションを押さえて、弾く」で切り抜けることはしばしばございます…_:(´ཀ`」 ∠):
そしてこれをジャズ界隈で「歌えていない」と言うのでしょう。
ちなみに「歌えないフレーズを弾く」と「闇雲に弾く」は別だとは思います。)
用意したフレーズしか弾くな、と言いたいのではないです。
弾きたいものを弾くべきだということです。
それが一音だけだろうと、小さいリックだろうと、長いフレーズだろうと。
そして、弾きたいものを弾くには「どこを押さえればいいのか」を事前に知っていなければ、弾けない。
そこに至るには
・弾きたいもの(音のイメージ)を楽器で表現できるようにし、即興演奏に組み込む研究
が必要です。
具体的に言えば、
この操作で「この音、このフレーズ、この響き」が得られるのだという情報を、とにかく一つずつ知り、理論的に整理し、覚えていく作業。自分の音楽の材料になるものを、本当に一つずつ吸収していくように意識します。
ローラー作戦です。
ちなみにコピーということもこの範疇に入ると思います。
(大人ならたぶん、不効率として無意識に退けたくなる考えだと思います。だからスケールとか、自動的に音楽がそこから生成されそうな概念のことをすぐに考えてしまうんでしょう。)
その練習方法としては、
題材の曲を練習するとき、
アドリブをイメージしつつ、小さい単位の作曲に繰り返し取り組むといいと思います。
アドリブ(どんどん過ぎ去り、修正出来ない、意志に反することがある)ではなく、
作曲(何度も巻き戻し、吟味できる、完成美を目指す)であるというところがミソです。
自分の弾きたいものをしっかり確認することが出来ます。
思いがけず良いネタが生まれたら、それは大切にとっておきます。
※この作曲的手法を突き詰めたものが所謂「書きソロ」と言われる手法でしょう。
参考になれば幸いです。